LOONA - Why Not? 考察-後編-
前編
LOONA - Why Not? 考察-前編- - 三度の飯より趣味積豊
さてさて、前編ではシーンを順番に解説していったわけですが、後編では Why Not? をさらに掘り下げていきます!
Let's pump it up!!
loonaverseの拡張
前編で、BBCやヒジンがloonaverseの"拡張"について言及していたと書きましたが、どう"拡張"したのか見ていきましょう。
拡張の証として、
- 他のメンバーの力をもらう/借りる
- 他のメンバーの場所/土地に行く
- 他のメンバーと入れ替わる
というシーンが頻繁に出てきます。
12:00になるとキムリプは飛びますが、
今まで見た中でLOONAで飛べるメンバーかつ、キムリプと関係があるのはヒジンだけです。
*Hi Highのラストや#1で
そんなヒジンから力をもらって/借りて飛んでいます。2人は Hi High で関係性があることが明かされていました。
オリビアへは Egoist で見せたような (彼女の象徴感情の) Anger (怒り) を表す"赤い目"を
増幅させ、他の人(LOONAメンバーではなく世界中のLOONAだと思いますが)に分け与えています。
ビビは元々イヴの特徴であった"浮くリンゴ"
のシーンに登場し、イヴの象徴であったものがビビへと移り変わっています。
説明不要でしょうが、この2人も関係が深いです。
キムリプがいたと思われる草原はチェリの象徴であった紫色に。
ヒョンジンと一緒にいるのは元々双子であったチェリでなく、代わりにヒジンが。
他にも食料品店のyyy+チェリ,月では1/3のヒジンの代わりにゴウォンが入ったり、色んなメンバーがたびたび入れ替わってます。
そして、彼女たちのパワーが最大限に爆発し、拡張を最もよく表しているシーンがこちら。
それぞれ色を投げ合い、まさに自分の力を他に与え、他からもらうことを視覚化しています。
確立したアイデンティティが拡張、そして連帯していきます。力の共有です。
本来入れ替わるはずのない場所/人が入れ替わったり、本来得るはずのない能力をもらったり分け与えたり、これらが表しているのはloonaverseにはもうルールがないということです。
隕石に雷に店の荒れ具合に、完全に混沌とした世界=無秩序と化した世界が描かれています。しかしそれは悪い意味ではなく、もうLOONAを縛るものは何もなく、概要欄に書いてあった通り、自由な少女たち、また、それに値する少女たちの姿が描かれているのです。
過去のMVを彷彿とさせるシーンを多用しながらも、少し違う、変わった側面を Why Not? では巧みに見せています。*前編でもしきりに過去MV/Teaserを言及していたのはこのためでした。
これがLOONA新章の幕開け。既存のloonaverseはもう存在しておらず、次なるステップへと進み、進化したLOONAの姿が Why Not? では描かれていました。
シンデレラのアンチテーゼ
MV公開前から囁かれていたことですが、
結論から言うと、
Why Not? の最大のテーマはシンデレラです。
しかしそれはヒョンジンの片方の靴をがなくなっていたり
フォトティーザーなどで階段が頻繁に登場していたから、という簡単な理由だけじゃありません。That's a no no.
ViViDのインタビューでは"不思議の国のアリス"をモチーフにしたとヒジンが言っていましたし、LOONATVでは Let Me In は"星の王子さま"がコンセプトだとハスルが語っていたこともありました。なので童話をモチーフにするのは今回が初めてではありません。
しかし、シンデレラに純粋に倣うのではなく、アンチテーゼとして描いています。
まぁほとんどの人が知っていると思いますが、シンデレラのあらすじを簡単にまとめると
①昔々、シンデレラという美しい娘がいて義理の母と姉たちに冷たい仕打ちを受け、召使のような日々を送っていた。
②ある日、お城に住む王子さまが婚約者を探すための舞踏会を開くが、シンデレラは義理の母と姉たちに邪魔され、行きたかった舞踏会に行けそうにない。
③しかし、悲しみにくれるシンデレラの前に妖精フェアリー・ゴッドマザーが現れ、魔法をかけてくれ、ガラスの靴を履き、ドレスを着て、カボチャの馬車に乗り、舞踏会へと向かう。
④12時になったら魔法が解けると忠告を受けていたシンデレラ。王子さまと恋に落ちたシンデレラだったが、12時を知らせる鐘を聞いた彼女は慌てて舞踏会から去る。その時、片方のガラスの靴を落としていく。
⑤王子さまはそのガラスの靴を履いた女性を探し、何かと邪魔に遭うが、なんとかシンデレラを見つけ出し、2人は結婚しハッピーエンド 。
まさかシンデレラのあらすじをまとめる日がくるとは思ってもいなかったですがww
今後大事なので記しておきます。
四角=囚われている、と前編で書きましたが、
これは召使のような日々を送っていたシンデレラのことでしょう。
あれも一種の囚われの身のようなものです。
前半では四角いもの/場所が出てきますが、12:00になって以降、あまり登場しなくなります。
ジンソルはもう電話ボックスの中でなく外で踊っていて、チェリも座っているのでなく立って踊っています。
歌詞では呪文も登場します。
주문을 외워보자 Yolo-lo
呪文を唱えてみよう Yolo-lo
印象的なパート"Di Da Dam Di Dam Di Dam"は呪文を唱えている、ともコンサートで語っていました。
呪文=魔法ということで、ここはシンデレラが舞踏会に向かう時に妖精がしてくれたものと同じです。
LOONAは12:00、ミッドナイトフェスティバルに向けて呪文を唱えていたのです。
車は全編通してやたら出てきますが(ヨジンのカートも)、これはカボチャの馬車を表しているのではないでしょうか。ミッドナイトフェスティバルへの移動手段として。
ただシンデレラと違うのは、自分でコントロールしている点です。ここでもオリビアへが車を動かしていると思います。
また、既存のloonaverseでも車は登場しますが、決まって運転席には誰もいません。
決まったレールしか走れなかったのです。
しかし、そのルールはもはや過去のもの。
自分たちでコントロールする力を得ました。
自由になれました。
そしてついに12:00に。
シンデレラでは魔法が解ける時間....
ここから逆行していくのは、ジンソルのオッドアイの能力だとかゴウォンのバタフライ・エフェクトとか色々見かけましたが、私は魔法が解けて元に戻っていくためではないかと思います。それに、12時になったら次は12時1分へ、また次の時間が始まる/また新たなループに入るため、逆行したんじゃないかと思います。
また、上でも書いた通り既存のルールに逆らうという意味もあると思います。
元の姿に戻るため/元の位置に戻るため、
yyyにバラ科のさくらんぼを象徴とするチェリが入り(これでバラ科組が完成)、キムリプの周りの月が1つだけ黄色なのも(このブログで扱っている通り)元々OECだったヒョンジンが戻ったからかもしれません。
しかし、LOONAはシンデレラのように魔法が解けてただ元の姿に戻るだけではありません。
失った片方の靴を入れてくれる王子さまを待っているだけでしょうか?
LOONAは違います。
バタフライ・エフェクトによって得た経験が彼女たちにはあります。
シンデレラは状況を打開するための行動をせず、王子さまが助けてくれるのを受動的に待っているステレオタイプのヒロイン像です。
ですがLOONAはバタフライ・エフェクトによって世界中のLOONAの存在を知ります。So What ではその世界中のLOONAに"自分を変えることを恐れるな"とメッセージを発信し既存の世界を焼きます。そして Why Not? では"With all LOOПΔs around the world"というスローガンと共に、世界中のLOONAと運命を共にすることを決心します。彼女たちはずっと一緒です。
前編でも触れましたが、物理的には一緒にいなくても精神的に繋がっていることを象徴しているシーン通り、彼女たちは1人ではなく世界に仲間がいることを知っているのです。
ミッドナイトフェスティバルを開いたことによってLOONAは次のステップへと進んでいきます。
12:00前は何か戸惑っていた/何か怖がっていたキムリプでしたが、
12:00になると表情も変わり、
まるでコントロールしているかのように、周りの月も自分にまとわりついていきます。
自らの呪文で、自分を閉じ込めていたものを壊し、自由になったLOONAたちは自信に満ち溢れます。王子さまの助けは要りません。
彼女たちは絶対なる"個"を持っているのです。
シンデレラはコンセプトの一端にすぎず、Why Not? ではそれのアンチテーゼとして描かれていました。
自分の殻を破るためにただ待っているのでは無駄だ、自分はそれを打破する力を持っているじゃないか、だったらなんでしないの?Why Not? DO It!! そうLOONAは私たちにメッセージを発信していると思うのです。
これまでのloonaverse
最後にこれまでのloonaverseをまとめて終わりたいと思います。新章が始まったLOONA、ですからこのタイミングでするにはちょうどいいかと思います。
ViViD〜love4eva (完全体デビュー前)
- LOONAは12人それぞれバラバラ。メビウスの輪に閉じ込めた少女たち。それぞれ違う能力に場所。
- 12人はそれぞれを探す旅に出る。一方、私たち視聴者/ファンもこれらを通して彼女たちの個性や成り立ちを学んでいく。
Hi High
- 初めて12人が揃った集大成。団結すること,そして上を目指すこと、ポジティブでフレッシュな姿を通して教えてくれた。
- または実際に起こっていない夢。ある種のハッピーエンド 。デビュー曲にしてこれがloonaverse/物語の終わりなのかもしれない。
Butterfly
- Hi Highから過去に行き(あるいは違う時間軸へと)、バタフライ・エフェクトを通して、LOONAは変わっていく。第四の壁を通して世界の人々(現実世界の人々)にメッセージを届ける。
So What
- 全ての古いもの/価値観を全て焼き払い、既存の世界に"So What"とメッセージを届けた。ある種のリセットボタン。
Why Not?
- メッセージ性は So What の続きだが、So What で焼き払った世界の次の世界/新世界。LOONA新章の幕開け。
- ミッドナイトフェスティバルを通して、LOONAは完全に自由になった。それぞれ違う能力を持っていた12人だが、彼女たちを縛るルールはない。それぞれの個は全員の個へ。能力を共有し、LOONAの統一性は増していき、彼女たちのアイデンティティは拡張していった。
まとめ
前編後編と長かったと思いますが(文字数合わせて12000字以上いきました)、これで終わりです。
まだ謎が多いMVですが、自分もこの考察記事を通して"Why Not?"の理解度が増したと思いますし、読んでくれた方も同じだと嬉しいです!
また、書いたことは全て私の見解なだけで、書いたLOONAのメッセージが正しいのかも、本当にシンデレラのアンチテーゼなのかもわかりません。
しかし、loonaverseの考察は人それぞれ違っていいと思います。
オリビアへも"私たちは供給する側なだけで、物語はファンが描いていくもの"と語っていました。
MVの感想は人それぞれ、受け取り方も千差万別だも思いますが、それでいいと思います。それがLOONAの良さでもあると思います。loonaverseはファンによって紡がれていく....
これからもそれぞれ、loonaverseの考察を楽しんでいきましょう!
私も考察を提供しているだけなので、読んでくれた方はここからまた新たな見解と共にloonaverseの物語を描いていったらいいと思います。
もうこの記事をを出す週で Why Not? 活動は終わってしまうと思いますが、これほどはやく終えるということは次の活動が近いのかもしれません。
書きたいことが多すぎて何か書き忘れてるような気がするんですが....何かあったら追記しておきます。
次のまたLOONAの新しい活動の時に考察記事を出したいと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
ではまた!